オフィスの消耗品費とは?備品との違いと会計処理の方法

オフィスの消耗品費とは?備品との違いと会計処理の方法
オフィスの消耗品費とは?備品との違いと会計処理の方法
2021.04.28(更新日 2023.03.31)

会計処理の際、経費項目で「消耗品費」と「事務用品費」、「備品」の違いに悩んだことのある方も多いでしょう。経理・総務に配属されたばかりだと、なおさら頭を抱えてしまいます。

これらの項目を混同してしまうケースは多いですが、実はそれぞれ明確な違いがあり、会計処理の方法も変わります。正確に処理するためにも「消耗品」と「事務用品費」、「備品」それぞれの違いを把握しましょう。

今回は、それぞれの項目における具体的な違いと会計処理の方法についてご紹介します。

オフィスの消耗品費とは

オフィスの消耗品費とは、仕事で使う備品の中でも比較的金額が安く、短期間で使い切れるものを経費として計上するための勘定科目です。トイレットペーパーや洗剤などの「日用品」、文房具や名刺、伝票用紙や印鑑などの「事務用品」、パソコンやソフトウェアも条件を満たせば消耗品費として計上が可能です。

国税庁では、消耗品費を次のように定義しています。

①耐用年数(使用可能期間)が1年未満、または取得価額(物品などを購入した際の額で手数料なども含まれる)が10万円未満の什器(じゅうき)備品の購入費
②文房具や帳簿、用紙、包装紙、社用車のガソリン代などの消耗品の購入費

参考:国税庁「確定申告書等作成コーナーよくある質問 消耗品費

上記に該当すれば消耗品費として処理できるため、ちょっとした日用品から工具器具、ソフトウェアに至るまで、あらゆるものが消耗品費になり得るのです。

オフィスの消耗品費と事務用品費、備品の違いや使い分け

消耗品費と似たような勘定科目に「事務用品費」「備品」があります。これらは混同しやすく、いくらまでのどのような備品を何費として扱うのか、使い分けに悩む方も少なくありません。

ここでは、消耗品費と事務用品費、備品の違いをご紹介します。

消耗品費とは

前述のように、消耗品費は耐用年数が1年未満、または取得価額が10万円未満の什器備品(いわゆる消耗品)を購入したときに使用する勘定科目です。

条件を満たす物品はほとんど消耗品費として処理できますが、事務用品費と分けて計上してもよいですし、事務用品の購入額が少額なら消耗品費としてまとめて処理しても問題ありません。法律的なルールはないので、自社の経理ルールを定めましょう。

大切なのは、「同じ取引は同じ勘定科目使って経理処理を行う」こと。会計処理には一貫性が求められるので、頻繁に変えるのは好ましくありません。何をどの勘定科目で処理するのかを明確にし、継続することを心がけましょう。

消耗品の例

以下のような品目が消耗品にあたります。

日用品 トイレットペーパー、ティッシュペーパー、タオル、掃除用品、洗剤、電球、観葉植物など
事務用品 ボールペン、封筒、コピー用紙、DVD、コピー代、印鑑など
工具・器具・備品 デスク、イス、棚、黒板(ホワイトボード)、電話(携帯電話)、パソコン、カメラ、ドライバーなど
その他(ソフトウェアなど) ソフトウェア代金、切手など

事務用品費とは

事務用品費とは、消耗品費のうち事務関係の備品を管理するための勘定科目です。主に、事務関係の消耗品に使用されることから、事務用消耗品費とも呼ばれています。

事務用品費も消耗品費として経費計上できますが、事務用品は購入数と金額が多くなりがちです。消耗品費とは別に事務用品費として処理をすれば、事務用品費にどれだけ使ったのかが把握しやすくなります。事務用品を発注する際はもちろん、商品の変更を検討する場合にも役立つでしょう。

事務用品の例

以下のような品目が事務用品にあたります。

事務用品 筆記具などの文房具、ノート、封筒、コピー用紙、コピー機のインキ、領収証・請求書の用紙、印鑑、朱肉、バインダー、ファイルなど

備品とは

備品は、消耗品費の基準に該当しないもの。耐用年数が1年以上、取得価額が10万円以上20万円未満のものが備品とされています。20万円以上の備品は固定資産の勘定科目にあたるので、オフィス備品だけでなく、建物や付属の設備、車両運搬具なども大枠で備品に該当します。

備品は耐用年数に関係なく、3年で均等に償却できる「一括償却資産」として会計処理ができます。また、一定の資産を減価償却(耐用年数に渡って費用として計上)することも可能です。

備品の例

以下のような品目が備品にあたります。

備品(固定資産) 家具(応接セットなど)、家電(冷暖房機器・冷蔵庫など)、パソコンなど

消耗品と備品の会計処理方法とは

ここでは、消耗品と備品の会計処理の方法をご紹介します。

消耗品

消耗品は「費用」または「資産」のどちらで処理しても大丈夫です。例えば、費用として計上する場合、使用する勘定科目は「消耗品費」となり、以下のように仕訳をします。

<購入時に費用として計上する場合>

借方科目 金額 貸方科目 摘要
消耗品費 5,000 現金 ◯◯の購入

決算時までに消耗品を使い切れなかった場合、残ったものは「消耗品」として資産計上します。対して、購入時に資産として計上した場合も、決算時に使用した分は資産から消耗品費に振り替える必要があります。

決算時に混乱しないためにも、管理がずさんにならないように注意しましょう。

備品

備品の計上方法は「会計」と「税務」で異なります。会計では「費用として計上する」、または「3年かけて減価償却資産として計上する」のどちらかを選択できますが、税務の場合は「3年かけて減価償却し、資産として計上」する必要があります。

計上方法を把握できなければ、法人税の計算を間違えるおそれがあります。延滞や過少申告とみなされれば、さらに税金を課せられることもあるので注意しましょう。近年では、ミスを防ぐために資産で計算するケースも多くなっています。

<資産として計上する際の仕訳>

借方科目 金額 貸方科目 摘要
一括償却資産 200,000 現金 ◯◯の購入

<決算時の仕訳>

借方科目 金額 貸方科目 摘要
減価償却費 50,000
※取得金額の1/3
一括償却資産 減価償却費計上

オフィスの消耗品費をきっちり管理しよう

消耗品費と事務用品費、備品は、似ているようで異なります。事務用品費は事務関連のものだけに使用できる勘定科目ですし、消耗品費と備品は使用可能期間や金額で判断することが可能です。

消耗品費は枠が大きいので、さまざまなものを消耗品費として経費計上できます。まとめて処理するのもいいですが、管理のしやすさを考えながら自社でルールを定め、毎回の申告がちぐはぐにならないように注意することが大切です。

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